私達トリマーを困らすワンちゃんのお話です。ここで私は、咬む犬・暴れる犬がいかに危険か、皆さんにお伝えしたいと思います。 

咬む犬・暴れる犬が私達トリマーにとっていかに危険かということは、どなたにもおわかり頂けると思います。トリマーは両手、そしてすべての指をフルに活用するお仕事です。自身の手が大切な仕事道具となります。その商売道具の手を咬まれ怪我をしてしまうと、仕事ができません。実際今までにも、何人ものトリマーがそれが原因で休業しています。

でも、私がここでお話したいのは、私達トリマーの危険や不安ではありません。何よりもワンちゃん自身危険がだということを、ぜひ知っておいていただきたいのです。咬む犬・暴れる犬のトリミングをする時、私達が最も恐れるのは、ワンちゃん自身が怪我をしてしまうことです。なぜだかお分かりですか?

ここでちょっと、トリマーが使用する代表的な道具を見ていただきましょう。


ハサミ
バリカン
スリッカーブラシ



ひとくちに咬むといっても、「トリマー」に咬みにくる子と「道具」に咬みにくる子がいます。「トリマー」に咬みにくる子は、今、ご説明したように私達に危険がおよびますが、 問題は「道具」に咬みにくるワンちゃんなのです。

ハサミ、バリカンはみなさんご存じのように「刃物」です。当然のことですが「刃物」を咬むのはとっても危険ですよね。

スリッカーブラシというのは、写真のように、くの字に曲がった細いピンが何本も植えられたブラシです。ワンちゃんをトリミングするとき、必ずこのブラシを一度は使います。このブラシ、扱い方によっては凶器にもなりうる道具なんです。その理由は「くの字に曲がった細いピン」。これは間違った角度で使用すると、膚にささり大変危険です。私達は「スリッカーバーン」と呼んでいますが、皮膚が赤くなり、ひどいときには内出血をおこしてしまいます。もちろんこんなモノを咬むというのは、針を咬むのと同じことです。

また、ワンちゃんが暴れるとトリマーの手がぶれます。ぶれた手に刃物が握られていたとしたらどうでしょう? スリッカーの角度がずれたら、どうなるでしょうか?もう、おわかりいただけたと思います。



私達の使用する道具は、使い方によっては全て凶器になりうるものです。だからこそトリマーは、きちんとしたスクールを出てショップで経験を積んだプロフェッショナルであることが要求されます。

スクールに入学した当初から、私達トリマーが永遠に言われつづける言葉があります。

「犬が動いた、は怪我の理由にならない」

犬は動くものであること、そして私達はその動く犬を扱うプロフェッショナルであること。これはすべてのトリマーが忘れてはならないことです。しかし、申し訳ないことに、プロでも完全ではありません。どんなにがんばっても、トリミングのムリなワンちゃんがいます。暴れたり咬んだりして、ワンちゃん自身が怪我をする可能性のある場合です。こういうワンちゃんには、どんなベテランのトリマーでも、お手上げです。

飼い主さんももちろん、怪我をさせてまでトリミングしようとは思わないでしょう? でもそれでは、ワンちゃんは一生、汚れたままですね。どうしましょう? ワンちゃん自身も可哀想ですよね。

そうです、ワンちゃんが咬まないよう、暴れないよう、きちんと「しつけ」をして下さい。これは飼い主さんのためでも、私達トリマーのためでもありません。ワンちゃん自身のためにお願いしていることです。



ワンちゃんのことを思うなら、まず、みなさんががんばって「おりこうさん」のワンちゃんにしてあげて下さいね。心からお願いします!