ふれあい広場

その時がきたら
ターミナルケアのお部屋

ターミナルケア 〜その時が来たら〜Vol.1

皆さん、初めまして
ターミナルケア〜その時が来たら〜”を担当します大崎己美代と申します
よろしくお願いいたします。

「ターミナルケアー」と言うと、皆さんは何をイメージされるでしょう。
末期癌、苦痛、寝たきり、床擦れる、告知、在宅医療、安楽死……。
いずれにしても出来たら関わりたくない言葉ばかり。
暗〜い気持ちになってしまいますね。
どんなに愛しても、手放したくなくても、ペットとの別れの日は必ずやって来るのです。
その別れの日を出来るだけ納得して、心穏やかな心で迎えていただきたいと心から願ってやみません。
このコーナーは、そんな願いから生まれました。

ペット・ロス症候群と言う言葉は、すっかりお馴染みになりましたね。
突発的な事故や急病でペットを亡くされた場合は本当に気の毒です。
心の傷が長引いてしまうのも当然ですなぜなら、それは飼い主さんに覚悟や準備ができていない段階での「死」だからです。

しかし多くの場合は、ペットが死に至るまでには何らかの闘病期間があります。
この闘病期間をペットと共に戦っているのだという実感を持ち、「上手く乗り切ることさえできたら」「ペットと別れをいつまでも悲しんだり恨んだりしなくても済むのでないか」と思うのですが、皆さんはいかがでしょうか?

ここでちょっと自己紹介も兼ねて私自身の話をさせていただくことにします。

99年4月11歳のボルゾイを悪性リンパ癌で亡くしました。
7年前にも、6歳の犬を全く同様の病気で同じ経路を辿り、同じ病院で亡くした経験を持っています。
リンパ癌だと分かった時は、もう手の施しようがありませんでした。
全身に黄疸が出て足も立たず、ただ息をしているだけという状態でした。
それでも意識だけはしっかりしていて、静かに横たわって私を見つめるのです。

獣医さんは
「このまま治療せずに自然に逝かせてあげた方がこの子のためには幸せかも知れない」
とおっしゃいました。
私は選択を迫られた訳です
そのような場面にいながら、私にはまだ覚悟も準備もできていませんでした。
自然に逝かせると言っても、苦しむ様子をじっと見守ってやれる勇気もまた、私は持ち合わせていませんでした。
そこで私は獣医さんに言ったのです。
「このまま死なせることはやはりできません、治らないのは承知しています。でも何とかしていただけませんか?」
それに対して獣医さんはひと言、こうおっしゃいました。
「分かりました」

それから犬は1ヶ月生きました。
足は萎えたままでしたが、上半身は起こせるようになり、途中、食欲も出て意思表示もはっきりできます。
調子の良い時は家に引き取って、犬にしてみれば最後の日々を我がままいっぱい、飼い主をこき使って(?) 、あれが食べたい、これは嫌だなどと振る舞うことができたのです。

その間には私は心の準備を、知らず知らずにしていたのだと思います。
もういよいよというその日、苦しそうな犬を私の前に私は獣医さんを訪ねました。

「安楽死の基準はあるのでしょうか?」
獣医さんは次のようにおっしゃいました。

「基準はありません、私たちは基本的には飼い主さんの希望に添うだけです。
ただ、私自身の基準をお話しておきたいと思います。この子のように意識が濁っていない場合は、そう言うことはなるべく避けたいと思います」

私は獣医さんの意志を尊重しました。
犬はその翌日の明け方、息を引き取りました。
犬の亡きがらに私が思わずかけた言葉は
「よかったね」でした。

「よかった」にはいろいろな意味があります。
もう苦しい思いをしなくて済むからよかった。
そうして飼い主の私自身が苦しみから解放されたこともよかった
でも、私は何よりもいい獣医さんに出会えいい関係を築け、その中で犬の最後を看取れてよかったと思いました。

獣医さんはまず、犬の苦痛を取り除くことを第一に考えてくださいました。
そして飼い主の私の気持ちをいつも尊重してくださいました。
なおかつ節目節目に適切なアドバイスをしてくださり、私を導いてくださいました。
お陰で、犬の死を穏やかな気持ちで受け入れることができたのです。

私のケースは幸運だったのかもしれません
しかし、幸運だったからこそ、その幸運を一人占めすべきではないと考えました。
自分の体験してきたことを生かして実際にターミナルケアーに入って大変な思いをしていらっしゃる飼い主さんのお役に立ちたい、立てるのではないかと思ったのです。

ところで皆さんは、いい飼い主の条件って何だと思われますか?

食事に気を遣ってくれる飼い主?
散歩をかかさずにしてくれる飼い主?
いつも一緒にいてくれる飼い主?
どんなに忙しくても一緒に遊んでくれる飼い主?

たぶん全部正解。

だけど一つ忘れがちだけど、とっても大事な条件があるのです。
それは、ペットたちがそれぞれの寿命が尽きてあの世に旅立つとき「ありがとう。あなたのお陰で楽しかった」と明るく送り出すことのできる飼い主、ということです。
忘れないでくださいね。



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